鳥や小動物が死ぬ人為的な要因として、生息地の喪失や農薬、狩猟などを上回り、ネコがおそらく最大の要因だという。
研究を行ったのは、米スミソニアン保全生物学研究所のスコット・ロス氏率いるチーム。
研究チームはネコの捕食行為についての既存の研究を分析した。
ペットとして飼われている猫や野良猫による捕食を統計としてまとめ、体系的に分析したのは今回が初めてだという。
欧州と北米の温暖な地域では、屋外に出ることのできるネコは、1匹あたり毎年30〜47羽の鳥、177〜299匹の小型哺乳類を殺していることが過去の調査で分かっている。
一方、ネコの総数について研究チームは、およそ8400万匹の飼いネコがおり、うち数百万匹は屋外に出ることができないと計算。
また、野良ネコはおよそ3000万〜8000万匹と見積もった。 

調査によると、合計で、屋外に自由に出られるネコは合わせて年間14億〜37億羽の鳥、69億〜207億匹の哺乳類を殺していると推計した。
この殺害の大半は野良ネコによるものだ」と論文は結論づけている。

国際自然保護連合が毎年更新しているレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)によると、島に生息するネコが原因で絶滅した種は鳥類、哺乳類、爬虫類合わせて33種に上る。
調査チームは、自由に歩き回る猫が野生生物に深刻な脅威をもたらしており、一部の鳥や小動物の絶滅の一因にもなっている証拠が山積しているにもかかわらず、猫の管理は科学的根拠よりも、
感情論に基づいて形成されていると指摘。
「野放しの猫の管理に対する現在の非科学的アプローチの主な要因は、猫の捕食による(野生生物の)死亡数が、事故など人間由来の脅威に比べれば取るに足りないという理屈が背景にある」としている。
野鳥保護団体は今回の調査結果について、猫の飼い主や地域社会への警鐘になると歓迎。
同団体のスポークスマンは「われわれは可愛くてフワフワした猫は大好きだが、この捕食者が自由に行動するのをこれ以上見過ごすことはできない」と語った。

ソース:http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPTYE90T02O20130130