2月18日:果糖の代謝すらわかっていなかった(2月6日号Cell Metabolism掲載論文)|2018年2月18日
http://aasj.jp/news/watch/8072
果糖の代謝のほとんどは小腸の細胞で行われており、最初小腸に存在するケトヘキソキナーゼ(Khk)によりリン酸化されて下流の経路に流れることを明らかにしている。
実際Khkをノックアウトすると、果糖はそのまま門脈を通って肝臓に行く。すなわち、小腸は果糖が直接肝臓に行くのを防御する働きがある。

ただ、この処理能力には限界があり、このレベルを超えると肝臓に直接入って、肝臓で代謝されるようになる。また、一部は腸内細菌で代謝されるが、
腸内細菌の代謝物で直接体に影響するのは短鎖脂肪酸と想像している。また果糖を前もって摂取しておくと、G6Pcの発現量が変わり、より高い果糖を小腸で処理できることも示している。

話はこれだけで、なぜ果糖が様々な生活習慣病、特に脂肪肝の原因になるのかについてはこれからの問題だろう。小腸での果糖の特殊な処理により肝毒性のある中間体が多く生成されることや、
果糖自体が小腸や肝臓で、インシュリンでコントロールできない糖代謝の酵素系を誘導してしまうことを、果糖が代謝病により強く関連する可能性として示唆しているが、研究が必要だ。
食後に甘いものをとるという生活の知恵が、果糖の処理能力を果糖が高めるこという今回の結果に合致しているのには驚くが、一方食事中、あるいは食間に果糖で甘みのついた飲料を摂取することが、最も危険なことだと教えてくれている。