>>241
年どころか、週に3回くらい泣いたときもあった。
ちょっとからかわれたりすると、顔面蒼白になって特大の水っぽい涙をボタ、ボタ、と落とし始める。
目がぱっちりして中性的な顔立ちで、どちらかといえば痩せ型で背も低かった。

とにかく体の中にこんなに水分があるのかと言うほど涙の量が多い。
5、6粒同時にボタボタボタッ!と落ちて、またボタボタボタッ…というのを5秒おきに繰り返して、床の水溜まりは30センチ以上になることもしょっちゅう。
落ちる音もはっきり聞こえたし、水溜まりが俺のリュックに向かって流れ出してかなりリュックが濡れたこともあった。
クラスでも女子から可愛がられるタイプで、「おっきい水溜まり作ってて可愛いよね」と噂になっていた。
帰る時間に泣いて、できたての水たまりが掃除の時間まで残ってて女子が雑巾で拭いたり。朝に泣いてできた床の水溜まりの痕跡を、雑巾で丁寧に拭き取ってるのも女子だった。

先輩の女子に慰められたエピソードは、異学年合同のボランティア活動のとき。
自分たちはまだ1年生で、全学年合わせて20人くらいの班で地域のゴミ拾いに行った。
その男子は同級生とのいざこざで泣き出して、いつものごとく地面に大粒の涙をボタボタボタボタっ、ボタボタボタボタボタっ、と派手にこぼし始めた。
その途端、2〜3年生のお姉さんたちが優しく「どしたの?」「泣かない泣かない」と背中をさすったり、指で涙拭ったり。
当然かなり特大の涙だから、先輩女子の肘まで3粒ずつ太い筋を引いてるのも見えた。

泣き顔や涙が魅力的なのもあるが、この子は普段から優しいというか、良くも悪くもお人好しなタイプだった。
素で女子に親切だから、なおさら好かれたのかもしれない。
すぐ泣く代わりに後味を残さなくて、涙が止まれば普段の顔に戻っていた。