当時中学生だった長女に性的暴行を加えたなどとして、青森地裁八戸支部が青森県在住の50代の男に準強姦罪などで懲役6年(求刑懲役8年)を言い渡した事件で、
長女が児童相談所に保護されては自宅に帰され、再び被害に遭う状況が繰り返されていたことが、捜査関係者などへの取材でわかった。

 児童相談所は「個別の事案についてはお答えできない」として、当時の状況を明らかにしていない。

 判決などによると、男は2011年1月中旬、県内の自宅で、長女に対して性的暴行を加えた。
長女が小学6年生のころから暴行や脅迫、性的虐待を繰り返していたといい、
抵抗することが困難な「抗拒不能」の状態に長女が陥っていることに乗じたものだった。

 長女は性的暴行を受ける直前の10年12月中旬に、男の暴行が原因で児童相談所に一時保護されていた。
だが約1カ月後、長女は児童相談所から自宅に戻され、それから1週間もたたないうちに男から性的暴行を受けたという。

 岩崎慎裁判長は判決で、「安全であるべき自宅に戻ったにもかかわらず、
再び性交を強要されることになった当時13歳であった被害者の心情は察するにあまりある」と指摘した。

 捜査関係者によると、長女はこのとき学校に性的暴行の被害を訴え、再び児童相談所に身を寄せた。
だがこのときも約1カ月で自宅に帰され、性的暴行はその後も数年間にわたって繰り返されたという。

 当時、児童相談所から県警には通報がなく、県警は一連の事態を認知していなかった。
昨年末、男が長男に対し暴行しているのを長女が止めに入ったところ、自らも暴行を受け、110番通報。
県警が男を傷害容疑で逮捕したことで、長女が長年にわたって性的暴行を繰り返されていたことが明らかになった。

2019年6月21日 17時54分
朝日新聞デジタル
https://news.livedoor.com/article/detail/16656503/