強制挨拶の背後にある恐怖の力。
それは1部のヤンキーによる呼び出しや囲みやリンチ。
果てはレイプの恐怖まで。
そういうのが当たり前にあった時代なので
彼女たちは必死に服従の態度が取れるのである。

まだ当時、連帯責任という概念が強かったので
尚更彼女たちはがんじがらめであった。

だから1人も余さずその理不尽な掟に従っていたのである。
教師達も強制挨拶さえ目をつぶれば生徒管理が楽だったのであまり真剣にこの問題に取り組もうとしなかったことも問題であった。

結局彼女たちは諦めて受け入れるしか道がなかったのだ。

体育会系女子は雑談、先輩発見、豹変して渾身の挨拶連呼、
通り過ぎるとまるで何も無かったように雑談していた。
我々の目も全く気にせずに。それが当たり前の光景になっていった。

ただ大人しい女子やプライドの高そうな女子は強制挨拶という屈辱的行為やそれを見られることにいつまでも抵抗があるようで、
それでも渾身の挨拶をしないわけにいかなくて、
豹変スイッチが入り切らずどこか挨拶の声もうわずり気味になってしまう。
そういう心の機微すら粗相と認定されまた呼び出しの対象になったりするのであった。

つまり先輩に対する渾身さこそが下級生女子には常に要求され、
先輩に優越感をあたえないものは全て粗相と判断されるのであった。
下級生女子は地味に地味に。
その立ち回り方に腐心することが彼女たちの最優先事項であったのだ。