趣味が身内に知られていたから開き直って普通に愉しんでいた。
鑑賞用に買うつもりだったけど、
ハンガーに掛かる幾多にも並んだ半ズボンを見ていると、やっぱり穿きたくなってしまい、
ウエストの表示を気にして選んでいた。
レジに向かい、店を出るまでのドキドキが忘れられない。
自室で袋を開けた時の興奮。
釣り銭と共に無造作に入れた「ボーイズ半ズボン 1980Yen ボーイズ半ズボン 1980Yen」(色違いで2枚)
というレシートも、何となく嬉しくてパソコンデスクの上に置いていた。
隣にはその時の新品の半ズボンが1枚。
やっぱりこの感じが好きで堪らなく、親がパートから帰ってくるまでの間を愉しんでいると、そのまま眠りについてしまい、、、。
ゴソゴソという音に眠りから覚め、はっとした。
直ぐ横で洗濯物を畳む親と目が合い、するとデスクの上の半ズボンに目が行き「半ズボンを買ったの?暑いからね」と一言。
血液が耳に向かうのが分かった。
穿いている半ズボンを見、次には「半ズボンが好きだったもんね」
その場をやり過ごしたくて思わず「うん」と頷き、そのまま居間に下りて親が自室を出るのを待った。
穿き替えるのも変に思われるし、どうせならこのまま過ごしてしまえと家族の前に出た。
それが事の始まりで、以降、半ズボンでいる事に。
16歳という年齢だったけど慣れてしまえば何という事もなく、
近所への買い物にも半ズボンという格好で冒険してみると、
替えるのも面倒になり、夏の間は何処へ行くのにもボーイズの半ズボンを穿いてそれが普通になってしまった。