2015.11.16 06:00
「体の不自由な人の手助けをしたい」。純粋な少年の澄みきった心は、重病を装った27歳の男の卑劣な犯行によって踏みにじられた。男は男子高校生を身障者用トイレに連れ込み介助を頼むと、おもむろに下半身を露出し、局部をなめさせたのだ。
茨城県土浦市で起きたこの事件。男は準強制わいせつ容疑で逮捕されたが、過去に逮捕歴があり、捜査関係者の間で「チューブマン」と呼ばれていた。そんな男が編み出した驚きの手口とは…。

【白昼の市役所で】

 10月25日の昼前、JR常磐線土浦駅(茨城県土浦市)に直結する同市役所の2階にある「市民ラウンジ」。

 同県美浦村の無職の男(27)は、辺りを見回して「獲物」を物色していた。日曜日とあって、ラウンジには自習をする高校生や談笑する市民らであふれていたに違いない。男が狙いを定めたのは、机に座って1人で勉強をしていたおとなしそうな男子高校生だった。

 「自分は知的障害者なんですが、5階に上がりたいので手伝ってもらってよいですか」

 男子高校生は男の頼みを快諾し、よろめく体を支えながらエレベーターで5階へと案内した。この時点では、不審な点は感じられなかったのだろう。男子高校生は礼を言う男と別れ、2階に戻り、再び勉強に没頭した。

 それから2時間後の午後2時過ぎ、男は2階に戻り、再び男子高校生に声をかけた。

 「先ほどはありがとう。迎えが来るので、今度は階段で1階まで案内してほしい」

 男は男子高校生に、1階までの付き添いを依頼。男子高校生はまたもや快諾し、男に付き添いながら階段を下り始めた。踊り場付近まで来たところで、男の「演技」は始まった。

【トイレに連れ込み…】

 「はあはあ…」

 階段の途中で、突然苦しそうにあえぎ始めた男は、声を振り絞って男子高校生にこう懇願した。

 「実は『呼吸乱(こきゅうらん)』という病気なんだ。呼吸を落ち着かせる方法があるのでやってほしい」

 もちろん「呼吸乱」という病気はない。

 男子高校生は突然の出来事に驚きながらも、「とても苦しそうだ。助けてあげたい」と思い、男の求めるまま、階段下にあった身体障害者用のトイレに入っていった。男にとって思う壺。ここから悲劇の1時間が始まる。
http://www.sankei.com/images/news/151114/afr1511140001-p1.jpg
犯行現場となった土浦市役所1階のトイレ=12日午後、茨城県土浦市(桐原正道撮影)
http://www.sankei.com/affairs/news/151114/afr1511140001-n1.html