0074大人になった名無しさん
2018/02/25(日) 19:13:01.58梶井基次郎の檸檬の中に出てくるような街の中は
埃っぽい匂いが立ち込める通り雨のアトで
又鳴きだした蝉の声響く路地は駒絵と化したかのよう
遠くから聞こえる祭囃子 背筋を伸ばした 向日葵
横をすり抜ける少年の 飛び越す水溜りを跨いでから
丁度そこの角を曲がる ボクの視界に飛び込むのは
どこか大人びたキミと モコモコと ソフトクリームのような入道雲
今迄ダンマリを決め込んでた風鈴達さえ いきおい騒ぎだしたのは
ボクでさえ初めて見るキミの浴衣姿の所為だけじゃなくて
その口元スッと引かれた紅の熱に浮かされたボクが
風をこうドッと辺りに巻き起こしたからさ
神社への道はちょっとした賑わいを見せ ユラユラ燃える陽炎 蝉時雨
浴衣姿薄化粧のそのほんの一寸赤い口紅の所為で
喉はカラカラさ (嗚呼さいだあがあればこんな日は)
でも君のリクエストに答えシャクシャクと キミと一緒に食べるカキ氷
夜ともなれば二人は誘蛾灯に誘い寄せられる虫たちのご如く
祭りに向かう人並みの中 「ウスバカゲロウさキミは」
僕の呟き声に薄化粧を直したキミが振り向くとしたら
湯上りのシッカロールのにほいをほんの少しだけフワっと夜風に乗せる
又は"夏のFlora"
カランコロン鳥居潜り カンラカンラと笑い声響く境内に 尺玉花火も加わり
君の口紅 紅を増し浮かんだ ホラ鹿も舞う夏の夜空
帰り道の川原はコロコロと河鹿鳴き
口に寄せる リンゴアメ