戊辰戦争の官軍旗2旗、宇都宮で発見 「白生絹」は全国初、貴重な史料
4月27日 朝刊
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20160427/2308618

 1868年の下野戊辰戦争で新政府軍が使った「菊花紋官軍旗」2旗が宇都宮二荒山神社から発見されたと26日、
県立博物館が発表した。長さ3メートルを超える薄絹製の「白生絹(しろすずし)御紋之旗」は全国で初めて、
正方形に近く紅色が鮮やかな「菊御紋紅大四半(くれないだいしはん)」は国内で2旗目。

 同館は「激戦だった下野戊辰戦争を研究する上で大変重要な史料となる」としている。いずれも29日から同館で
開く企画展「宇都宮藩主・戸田氏その歴史と文芸」で公開する。

 白生絹は墨で菊紋が描かれており、縦332・4センチ、横58・9センチ。上部に金具の輪が二つあり、つり下げ
られるようになっていた。下部には白糸で碁盤目状の縫い目があり、中央から下にかけて9カ所修理した跡が残る。
収められていた木箱の表には「招魂社(しょうこんしゃ)(現・県護国神社)宝器」、裏に「宇都宮及び諸所の戦争に
用いた」と記されている。書付には「宇都宮藩奉納」とあり、同藩に下賜されたことが分かる。

 大四半は縦164・8センチ、横154・9センチで、中心には墨で菊紋が描かれている。

 箱には会津戦争で用いたと記され、書付には「野津(のづ)参謀奉納」と書かれている。宇都宮城などをめぐる
戦いで薩摩藩士の野津鎮雄(しずお)(後の陸軍中将)、道貫(みちつら)(後の陸軍元帥)兄弟が従軍していた
ことから、戊辰戦争後、招魂社へ奉納したとみられる。

 【下野戊辰戦争】 新政府軍と旧幕府軍が、1868年4月から閏4月を含めて約6カ月間、県内各地で
戦った。小山をはじめ宇都宮、壬生、藤原、那須などで交戦。新政府軍は大山巌(おおやまいわお)、板垣退助
(いたがきたいすけ)、一方の旧幕府軍には大鳥圭介(おおとりけいすけ)、土方歳三(ひじかたとしぞう)らが
指揮官として参戦していた。