翌朝、弟の傍らに、じいちゃん、ばあちゃんの姿があった。弟はずっと眠ったままだった。

その日も、多くの人が弟に会いに来て、涙を流していたが、自分は全く泣かなかった。

お昼過ぎになって、弟は再び車に乗せられ、葬儀場へと運ばれていった。弟が居なくなった布団を見て、「二度と帰って来ないんだ!」と感じたが、それでも泣かなかった。

お通夜が始まると、母ちゃんは声を上げて泣いていた。父ちゃんも、じいちゃんもばあちゃんも、親戚の人も皆、泣いていたのに、自分だけは泣いていなかった。

お通夜のあと、叔父さん(父ちゃんの弟)と一緒に、弟の傍らに付き添った。父ちゃんたちは、自分を連れて帰ろうとしたが、
「コイツを一人になんか出来ない!」
という自分の剣幕に押されたのか、叔父さんに頼んで、付き添わせてくれた。