小中の頃、私はひどいアトピーだった。

学校では名前に菌を付けて気持ち悪がられ
ブスを通り越してマトモな人間扱いされてなかった。
そんな中、クラスの人気者で顔立ちの綺麗なKだけが
バイキン扱いに加わらず、優しく接してくれ、
ありがちな話だが私はKに恋心を抱くようになった。

ある日、クラスの子たちが話しているのを偶然立ち聞きした。
「○○(私の名前)菌、絶対Aのこと好きだよwバカだよなw」
Kの答える声がした。
「いや、それはないでしょ。
俺もあんま関わりたくないから適当に距離置いてるし。」

翌日もKは教室で会うと笑顔で接してくれた。

高校に入ると私のアトピーは完治し、
自分で言うのもあれだけど顔立ちはブスではない方なので
先輩から告白されたりするようになった。

ある時Kから照れたような笑顔で言われた。
「○○さえ良かったら付き合わないか?」
「今さら、私と付き合わなくたっていいでしょ。」
「俺のことは嫌いじゃないでしょ?」
「私は昔からあなたのこと嫌いだったけど?
上っ面だけいい顔して人のこと見下してるし。
偽善的だってずっと言おうと思ってたの。」
彼は黙って無表情に聞いていた。

それ以来彼には会っていないが、
風の便りでは今でも引きこもっているらしい。

あの時偶然立ち聞きさえしなければ、
「ブスだった時もずっと優しくしてくれた彼」
と今頃は幸せに付き合っていたかもしれないと思うこともある。