どうなってるの?学校 校則 生活点検 下着まで厳しいチェック 男子の前、憤る女子中学生
1996年4月14日 中日新聞朝刊

愛知県内の女子中学生二人から連名で手紙が届いた。
彼女たちが通っている学校は校則が厳しく「特に月一回行われる生活点検はプライバシーの侵害もいいところで、怒りに燃えています」と訴えている。
その生活点検とは▽かばんの中を教師にチェックされる▽制服の上着の下に着ているものを教師に見せなくてはならない▽つめの長さを調べられる
▽前髪がまゆ毛にかかってはいけない−−ほかにもいろいろあるらしい。

彼女たちに会って、詳しく聞いてみた。まだあどけなさの残る、まじめな中学生だった。
生活点検は、毎月一回、朝に全校教師総出で行われるという。学年別、男女別に点検場所を決め、
A先生は持ち物、B先生は前髪、C先生は制服の下を見ると いった形で分担するそうだ。
前髪の規定は「触っても揺れない程度」という基準がある。教師によって判断も分かれるようで
「まあ、これぐらいならいいだろ う」「甘いですよ、先生」と教師同士で議論になることもあるとか。

彼女たちが最も憤っていたのは、制服の上着のすそをまくって下を見せる検査だ。冬場だとセーターの色が派手ではないかチェックされる。
夏場だと、下着の色(白の無地のみOK)の点検。近くで男子生徒が検査を受けているから、どうも視線が気になる。
思春期の女の子にとって、かなり屈辱的なことだろう。
「私たち、おしゃれがしたいんじゃないんです。どうしてこんな決まりがあるのか理解できないから怒ってるんです」と彼女たち。
この問いかけに、教師はどう答えるのだろうか。
この校則は職員会議でもしばしば議題に上り、この春に強硬派の教師が転勤したこともあって、少しは改善されそうだという。
しかし、ほかにも彼女たちの悩み がある。生徒に「バカヤロー」とか荒っぽい言葉を使う教師、暴力を振るう教師がいることだ。
だから中学校生活は「楽しくない」と表情を曇らせる。



十年以上前、管理教育が問題となり、さまざまな批判の声が報道された時期があった。
中でも名古屋市近郊の学校は管理教育の象徴のように取り上げられた。
その後、男子生徒の丸刈りが廃止されたり、厳しすぎる校則を緩める方向が主流になった。
しかし、今でもなお普通の中学生が「納得できない」「理解できない」と思うような校則が残っている。社会の変化に気付いていない教師もかなりいる感じだ。
これからの教育に必要なのは、議論のルールを守って自分の意見を主張できる子どもを育てること。
納得できないものを押し付けられて我慢する子をつくるのが教育ではないのでは。

中学校だけでなく、小学校も含め、校則の在り方やプライバシーの問題を点検してみる必要がありそうだ。次回も引き続き校則問題を考えたい。