若いときは前しか見ていなくて、自分の足元など気にもとめていなかった。
家庭を持ち、子どもを育て、「子を持って知る親の恩」とは思ったが
やっぱり自分の家庭や子どもの事でいっぱいだった。

両親は両親で仲良くゆっくり老後を楽しんでいる様子に安心してた。

その父が病に倒れ逝き、残った母も休息に衰えて介護の末に亡くなった。
だいぶ落ち着いてから遺品の整理としてみると、父の残した日記には
「昨夜○○(私)に電話したら元気が無いようだが、大丈夫だろうか」
あるいは子どもが発熱、仕事休めずで両親に子どもを預けたりしていたが日記には
「△△(子供)発熱にて預かる。旅行は中止」
えっ?旅行を中止してまで預かってくれてたの?
そして母の遺品の中から出てくる、出てくる!
幼稚園の卒園証書から就職したときの辞令までちゃんとしまってある。
化粧ポーチの中にあったプラスチックの櫛は何ですか?
私が小学校のときに使ってて、いつのまにか飽きて捨てちゃった櫛じゃないですか!
赤ん坊のわたしを背負うのに使ったねんねこまでしまってあるですか?
そういえば若い頃、年がら年中午前様だったわたしがうちに帰ると
必ず食卓の上に私の食事が置いてあって、傍らには必ず手紙が添えてあったっけ。
「○○へ。おかえりなさい。お味噌汁は温めて食べてね。冷蔵庫に××もしまってあります。
よかったらどうぞ。早く寝なさいね。おやすみ」って。

そんなことね、もうあたりまえに思ってたわけよ。
手紙だって読んだらクシャクシャに捨ててたし。
今の自分はどうよ?疲れてるって夕食手抜きしたり、イライラして子供叱り飛ばしたり
母が大事に育ててくれたように子供育ててる?
暖かさ、優しさ、慈しみ、そんな気持ち母から教わったじゃん。
どこやったよ?
専業主婦だった母を世間知らずみたいに思ってたわたしこそ大馬鹿者。

今になって思います。
たくさんの愛情をそそいでくれて本当にありがとうございました。
もっともっと話をしたかったよ・・・。
今度は私が自分の子供たちに母から与えてもらったたくさんのことを受け渡していかなくては。
私は母の子供で本当に幸せだった。

親って毎日少しづつ、でも確実に老いている。そうは見えなくてもね。
生きてるうちに大事にしてあげてください。
>>74 顔見せてあげてね。