昔からよく私を叱った母だ。打たれたことも何度あったか。
でも、今だからあの時母が何故怒ったか、わかる気がする。
今は叱ってくれた事に感謝すらしてる。痛みを知らない大人になるのは怖い。
そして大きくなって自分が他人を打ったとき、打った手が凄い痛くて驚いた。
胸も痛かった。あー、痛かったんだね、お母さん。クソババアなんてほざいてゴメン。

「あなたの娘で良かったよ」と言ったとき「なーに言ってんだか」と言って
頭を撫でてくれた母の笑顔、忘れたことはない。
母の目元に涙が滲んでるの見るの、昔も今も、変わらず苦手。
母の声を聞くと何故か安心してしまうのも、多分一生変わらない。

女手一つで育ててくれて、大学まできっちり行かせてくれて有難う。
あなたの身体が段々弱っていってることが今一番怖いけど、
あなたが打ってくれた分、あなたが頭を撫でてくれた分、これから孝行するから
だからまだ、私の前を堂々と歩くあなたの姿を見せてください。
もしも歩けなくなったら、昔あなたがしてくれたように私が背負って歩くから。