俺の母親との想い出は、5年生までしてた寝小便にまつわる苦難の思い出し
か無い。 5歳の頃は、シ−ツのまま吊り下げられて浴室に運ばれて放置さ
れて、「オネショする子は、サーカスに売ってしまう!」と脅された。 
6歳になって妹が生まれると、これ幸いと夜におしめを一緒に当てられてた。
妹がおしめを卒業すると寝小便布団に戻されて、「オネショ直るまで布団は
替えない!」と言われて、まっ茶色に世界地図が重なった布団を、毎朝干し
出されていた。寝しょんべんパンツだと言って、分厚い雑巾のような専用バ
ンツを与えられて寝ていた。 3年生になると「オネショする子はオシメし
かない!」と言われて、妹と使っていたオシメを10枚縫い付けた分厚なオ
シメを拵えて、「今晩から、これを当てて寝ろ! 濡らす濡らさないはお前
の勝手だけど、洗濯は自分でやれ!」と宣告されてしまった。 毎朝、風呂
場でグチュグチュと揉み洗いして、絞り上げるのがたいへんだった。洗濯が
終わらないと朝飯は食べられなかった。 いい思い出なんか何も無い。