母ちゃんと弟と俺、3人だけの家族だった。
親父はおろか親戚付き合いの記憶も物心ついたときから、ねぇ。
人並みの娯楽や小遣いなど全くなかったし、
毎日毎日もパートをハシゴしてる母ちゃんを見れば、
子供心にうちがほかの家と違うのは痛いほどわかっていた。

そんな俺らにも月イチの大イベントがあった。
母ちゃんの給料日の次の土曜に、軽自動車で国道沿のファミレスに
家族3人で繰り出してハンバーグを食った後、帰りに本屋に寄って
漫画を1冊だけ買ってもらう。
今となっちゃ片腹の痛い話だが、当時は月末が近づくと楽しみで楽しみ
で仕方がなかったな。

激しく貧乏だったにも関わらず、母ちゃんは「学がないと自分みたいに
苦労するから」と学費やら参考書やら教育だけには金を惜しず、俺と弟
両方とも大学にまで行かしてくれた。
おかげで三十路にさしかかる今では人並みの暮らしをしている。

今でも正月に実家に帰ったときは、家族3人であのファミレスでメシを
食う。俺と弟でもっといいとこ行こう、と主張するんだが、母ちゃんは
なんでか「もったいない」って頑ときかねぇからな。

なんか月並みな話で申し訳ないが、うちの母ちゃんは俺らにとっては世界
イチの母ちゃんだ!これからたっぷり親孝行してやろうと思っている。

最後に今でも思い出すと心が痛むんだが、高校3年の夏期講習代全て馬に
ぶっこんだ俺を許してくれ、母ちゃん・・・orz