文化祭の前日の指きり、今でも忘れてないです。

放課後の教室で、2人は偶然はちあわせましたね。
宿題をする僕と忘れ物を取りに来た君。
まるで売れない三文小説の恋の始まりみたい。
「明日、合唱で歌うんだけど絶対見に来てね」
そう言うと君は小指をゆっくりと差し出した。
こんな些細なことがきっかけで卒業まで仲良く過ごしました。
一緒に帰ったり、勉強したり、修学旅行の班も一緒でした。
修学旅行で登った京都タワー、あの場所につけたサインはまだ残ってるのかなぁ。
好きだよ、と言えずに離れてしまったけれどたくさんの思い出をありがとう。

あの頃、君は保母さんになりたいって言ってたけど、今はどうしてるのかな。
どこで暮らしているのかさえ知らないけど、応援してます。
いつまでも、夢を持ち続ける君でいて下さい。
僕はあれから高校へ進み、少しだけ道を踏み外しました。
たぶん君が思ってた“僕”とは、程遠いものでしょう。
警察に捕まり、取調室での事情聴取。
担当警官の苗字で君のことを思い出しなぜだか分からず泣けてきました。