ふと気付くと、私は知らない夜道を歩いていました。
あたりに人の気配はなく、視界を照らすものも遠くの街灯の弱い光だけでした。道の脇には雑草が生い茂り、コンクリートの壁に沿って蔦のような植物が伸びていました。
道の先を見ると、遠くから巨人が歩いてきました。
身長は4〜5メートルあり、肌は木の幹のようにゴツゴツとしていて、腕は地面につくほど長く、セーラー服を着ており、緑色に光る目をしていました。
巨人は数十メートル先で立ち止まると、風音に女の咽び声の混じったような咆哮を上げ始めました。その声は辺り一帯に響き渡り、鴉がざわめき出しました。瞬く間に、鴉の群れが空一面を覆い、周囲には不気味な音だけが木霊していました。