しかし、これは磁荷(モノポール)が存在するという考え方なので、存在しなければ大ウソとなる。
今のところ磁化の原因は磁化電流としており、それが作るHはMと同じ向きなので先の話とは真逆となる。
つまり、B=0ではない。磁化電流がHを作り、それがダイレクトにB=μ0H=Mであるのだ。

また、磁荷が存在するとした場合に磁性体内部でH=0となるのは
環状磁性体、あるいは棒磁石を曲げて両端を接続した場合だな。
そうすると両端がないことで磁荷は消滅するのでMはあるがHはない、
つまりH=0だがB=Mとなるのだな。

さて、基本に帰ると 今の電磁方程式は磁荷の存在を認めておらず(第2式に磁荷がなく、第4式に磁流がない)、
また第3式のiは真電流を指しているのでHには磁性体の作るHを含めていない。
つまり、電磁方程式のHは真電流の作るHである。
だから、磁石のHを考えるというのは本来は邪道なのである。
磁性体の存在はB=μ0H+Mにおいて示されるのだ。
Hはあくまで磁性体ではなく、真電流が作るものなのである。
大事なのはこのMが、真電流の影響を受けて磁化するのか、あるいは最初から磁化しているのかはどちらでもよいというところだ。

次にビオサバールの法則を変形したもの rotB=μ0i であるが、
このiは全電流を指している。だから磁性体があってその磁性の原因が磁化電流ならば rotB=μ0(i+im) と書けるのだ。
このiは真電流である。よって rotB=μ0(i+im)=μ0i+μ0im=μ0i+rotM と書けることにもなるのだ。
これは 「磁化電流が真電流と同じように磁場を作り(rotM=μ0im)、その効果は真電流の作る磁場に加算される(右辺に加算で左辺のBが増減する)」ということを考慮したものなのである。