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「アインシュタイン、特殊相対論を横取りする」丸善株式会社
             ジャン・ラディック著 深川洋一訳

つい最近、書店で見かけた本です。最初は新手のトンデモ本かと思いましたが
そうではありませんでした。アインシュタインが1905年に発表した、現在
特殊相対論の始まりとされる論文には、参考文献が全く載っていないそうです。
この論文は、実は当時熱心に数理物理学を研究していたポアンカレのアイディアに
基づいて電磁現象化の剛体の運動学を論じたものであって、時間と空間を論じた物
ではありません。そしてポアンカレは絶対空間・絶対時間の否定や時空の概念、
ローレンツ変換の物理的意味を見出した、正に特殊相対論の創始者である事が
書かれています。また、光速度一定の原理が実は不要で、これがなくても
ローレンツ変換の証明及び特殊相対論の展開が可能であり、寧ろそれが本質的
であるといい、光速度一定の原理は正しい理解を妨げる物であるといいます。
著者は、既に光速度一定の原理が時代遅れのものであり、普通は理論が誕生して
時が立てば、次第に洗練されてくるにも関らず、教育者がこれに関心を持って
いない為に、光速度一定の原理はいまだに相対論の教科書の中で特権的な地位を
占めており、特殊相対論は誕生当初から進歩していないと批判しています