誰かの富を奪う事でしか人は豊かになれないなら
20万年前、わずか数千人の親族集団から始まり、ボロキレを身にまとい掘っ立て小屋に住み、
明日の食料を探すだけで一杯一杯だった人類が、それから数千年で70億人まで人口を増やして
尚且つ原始時代より遥かに豊かな生活をしているなどという事はありえない。

経済成長とは生産性の上昇と富の蓄積と人口増加の複合効果によって実現される。
途上国は一般に人口の増加率が高く、生産性も先進国の技術を導入するだけで飛躍的に伸ばせるので
条件さえ整えば先進国より高い経済成長率の達成が可能である。
その高い成長力は先進国の経済成長にも寄与する。

先進国は安い人件費を求めて途上国に工場を移転する。途上国が発展して人件費が高騰すれば
更に下位の途上国に工場を移転。この繰り返しによって世界中の国家の経済水準は一定以上に
上昇し、その結果、世界人口は減少に転じる。豊かさは性欲以外に欲望を分散させ、子供は
安い労働力から、教育費の嵩むお荷物に変化するからである。

人口減少は経済にとって大きなマイナス効果である。世界に先進国の生産技術が行き渡れば
大きな生産性の上昇も望めなくなる。つまり世界は22世紀中にも縮小経済に向かって歩みだす
事になる。給与水準が毎年確実に減少する経済。夢も希望もない社会。
社会不安が増大し、犯罪率は上昇し、戦争や内戦やテロが頻発する世界。