>>148
仰るとおり「太平洋の翼」は本邦特撮空中戦映画としては最高傑作だと思うですぅ。
「空軍大戦略」や「633爆撃隊」などの空戦映画に比しても引けは取らないでしょう。
スタジオ内の人工光による操演での空中戦特撮は、リアルに見せることについて
最も不利な条件が揃った手法ですが、それでも東宝円谷特撮はできるだけ
リアルで迫力のある特撮ショットをものにしていますね。
空中戦ではありませんが「宇宙大怪獣ドゴラ」のP2Vの飛行シーンなどは
地味ですがたいへん素晴らしいものでしたぁ。

しかし、山本長官の一式陸攻が撃墜されるシーンのある「山本五十六」は、
なんかフィルムの感じが違って、それまでの戦記映画に比べてミニチュア臭さが
いとど増しているように思えますね。
真珠湾に見立てた鹿児島湾で訓練シーンは「太平洋の嵐」の真珠湾攻撃シーンの特撮よりも
グレードアップした迫力がありましたが、いかんせんスタジオ撮影のためもあって
ミニチュア臭かったですね。
長官機撃墜のシーンは、一式陸攻の操縦席から増槽を落とす零戦を捉え
しかもなお雲間から現れるP38の編隊も見せた神ショットもあるし、
シャア大佐がP38を撃墜するショットも迫力がありましたが、
長官搭乗機のエンジンが止まるショットは、スタジオのライトがテカテカに映えて、
思いっきりミニチュア臭かったですね。
眼下にジャングルが延々と流れていくショットはダイナミックでしたが、
煙を引いた長官機を追う主観ショットでは、
空がぐんぐん迫ってきてホリゾント丸出しになっちゃってましたぁ。
また「山本五十六」は大型のミニチュアを製作したといわれる割には、
海洋シーンにリアルさが欠けてましたね。
翌年の「日本海大海戦」と「緯度0大作戦」で思いっきり挽回するですけど…。