ところで、明治の先覚者福沢諭吉は、「福翁自伝」の中に、体育について大変面白い意見を述べています。ちょっと読んでみましょう。
 「体育を先にす。子どもの教育法については、私は専ら身体(しんたい)の方を大事にして、幼少の時から強いて読書などさせない。
 まず、獣身(じゅうしん=けだもののからだ)を成して、後に人心(じんしん=ひとのこころ)を養うというのが、私の主義であるから、生まれて3歳、5歳までは色恥も見せず、7、8歳にもなれば手習いをさせたりさせなかったり、まだ読書はさせない。
 それまではただ暴れ次第に暴れさせて、ただ衣食にはよく気をつけてやり、子どもながらも卑劣なことをしたり、卑しい言葉を真似たりすれば、これをとがめるのみ。そのほかは一切投げやりにして、自由自在にしておく」