元アイドル歌手の弁護士 平松(ひらまつ) まゆきさん(40)
(2017年4月28日付中日新聞朝刊「この人」から」)

アイドル歌手から会社員を経て、33歳で法科大学院に入った。
3度目の正直で司法試験に合格。修習を終えて今年1月に弁護士登録し、
大分市に事務所を構えた。ハンセン病元患者の家族が
国に賠償を求めた訴訟に加わり、原告を支える。
「他の法律家とは異なる経験を、役立てたらいい」

幼い頃から歌うことが大好きだった。CMオーディションに合格し、
郷里の大分県別府市から15歳で単身上京。
高校時代に歌手デビューし、クイズ番組「世界ふしぎ発見!」の主題歌も担当した。
大学に入り芸能活動を休止。卒業後、製薬会社で働きながらバンド活動をしていたが、
三十路(みそじ)に差しかかり不安に襲われた。

「私は何も成し遂げていない。このままで、いいのかな」。
そんな折、三重県で1961年に5人が死亡した「名張毒ぶどう酒事件」の
テレビドキュメンタリー番組を見た。死刑囚に寄り添い、再審を請求し続ける
弁護士らに衝撃を受けた。「こんなにも、他人のために尽くせるのか」。
会社を辞めて法曹の世界を目指した。

「人前では物おじしない。法廷や交渉での、度胸と負けん気はあります」