野武士達の砦をなぜ利吉が知っていたか
おそらく利吉は一目さらわれた女房の顔を見たくてしょっちゅう様子を覗いに行っていたのだろう
(しかし叶うことはなかった)
そして女房は女房で囚われ慰みものにされる生活の中で既に気が触れている
ミステリアスな表情やしぐさはそのためだ
焼け落ちる直前の砦から出てきた女房ははからずも戸口で昔の夫と体面する
その瞬間、彼女は正気に返った
そして恥じ入り、自ら火中に身を投じ命を絶った