<成城や学習院や、洗練された女子学生とばかり、ツキあっていた私にとって、左さんは異星人のようにみえた>
 と白坂氏は書き、ある夜、左幸子にこう口説かれた。
<「岡本かの子の、”かの子遼乱”を読んだ?読んでるわよね、勿論。あの中に、誕生日に、恋人に自分のすべてをあげるってのが、あったでしょう?
今日、私の誕生日なのよ」左さんは、私の目をじっとみすえていう。
 左さんは、当時の流行演歌歌手T・Yとの確実な噂をしっていた私は、内心のオカシサをこらえながら、その夜、ベッド・インした>
<田舎くさい強引さ、ズルさ、泥くささ、あふれ返るバイタリティ>に氏は辟易してわかれを告げる。
<ベッドでの演技よりも、数段凄い騒ぎを演じてみせた左が、ケロッとして羽仁進監督との婚約を発表しのは、わずか1ヶ月後のことだった>