日本侠花伝
中身もないのに大作仕立てで無駄に長い実にヒドイ映画であった。
何故か名監督と評される加藤泰、毎度馬鹿の一つ覚えのローアングル。
汽車の中だろうが、留置場だろうが、便所の中だろうが、線路の上だろうが
お構いなし、必然性なし、据えっぱなしの長回し。
あとは役者同士のクローズアップかバストショットばかりで、全身が映るシーンは
極端に少ない。屋外のロケシーンであっても、ローアングルで人物の半身しか
映さないので、なにか大勢がゴチャゴチャしてたなぐらいの印象しか残らない。
加藤剛や北大路欣也はお付き合い程度、女を裸に剥いて木刀で殴ったり、
逆さ吊りにしたりする石井輝男みたいな拷問シーンにもウンザリさせられる。
全体に共産党系の独立プロで撮られたプロバガンダ映画のような匂いもあり、
観ていて気持ちが高揚してくるようなシーンはひとつもない。
東宝がこんな映画を作ってはいけません。
主役の女は大根もいいところ。渡は目を血走らせて凄んでいるばかりだし、
お約束とはいえ、この監督の愛人がやたら出張っていて、醜悪なアップが
やたら多いのにも参った。おまけに最初の方で観たくもないオッパイまで
見せられて、あやうくPTSDになるところだった。