博子は男樹が死んで、今は別の男と交際しているけど、女樹はいまだに男っ気がない。
郵便配達の男が寄ってきても「しっしっ」と犬のように追い払う女。
顔はそっくりでも人間性まで似ているわけじゃない。

高校生の女樹も今の樹と同じように頭の中が男のことでいっぱいになっているようなタイプじゃなかったのだろう。
高校生の男樹も素直なタイプではなかったし、女樹は彼の気持ちに気づいてはいなかったが、
博子との文通をとおして、「あいつ、私のこと好きだったんだな」とか、「自分もあいつのことを好きに
なりかけていたのかもしれない」とか懐かしく思い出していたんじゃないかな。