【『シベールの日曜日』について B】

その頃、施設では行方不明になった少女に気づき、大騒ぎとなっていた。
警察が動き出し、片手でナイフ、片手に風見鶏を持って、眠っている少
女に迫る男を発見、射殺する。
目を覚ました少女に名前を聞くと、すぐに状況を把握し、「私にはもう名
前はない」とシベールは泣きながら答える。

映像は冷ややかでクールだが、何が異常で、何が正常なのか、常識とは
何なのかを問う監督の視線が暖かい。また、何も持たない少女にとって、
名前を知らせるのが「プレゼント」という着想がすばらしい。

アカデミー外国語映画賞受賞作品。