軍令部の参謀役の橋本功は、丹波哲郎と共に『皇帝のいない八月』にも出演していた。

あと、脇役ながら印象深いのは、空母・瑞鶴の武田整備班長役の長門裕之。
老整備士にありがちな、「気難し屋な職人気質」をよく表現している。
『機動警察パトレイバー』シリーズの榊清太郎も、武田整備班長にインスパイヤされたのではと思うほどだ。

中盤、予科練を出たばかりの中鉢二飛曹以下3名が、空母・瑞鶴に乗り込んで来た時に、
「私達は、出撃したら2度と戻りません。敵艦に体当たりします。零戦を壊してしまいますが、許して下さい!」
と、死を覚悟した時には、「シナリオ」では、
「まだほんのガキみてェなツラしやがって…!」
という。だが、その後に整備員を整列させた時の台詞は、峻烈にして、「整備士魂」を燃え上がらせるものだった。

「いいか! もし、こいつら(中鉢二飛曹以下3名)が発艦に失敗したとしても、そりゃあ搭乗員の腕じゃねェ! てめェらの整備が悪かったからだ! いいか! 螺子一本緩めやがっても勘弁しねェぞ!!」
現実の飛行機の整備士でも、老練な整備士はこう言って、若い整備士にゲキを飛ばすだろう。

長門裕之演ずる武田整備班長の部下である、なべおさみも人情味溢れる役だった。
父が戦死して母と二人きりの中鉢を案じたり、中鉢が発艦の際に失速した時に、ヒヤリとしたり。
大和だけではなく、こうした脇役にも注目してみるべきだろう。