【みな殺しの霊歌】は序盤から最後まで心を鷲掴みにしてくた。佐藤允の復讐劇と倍賞千恵子との儚く叶わぬロマンス。指名手配の男と知りながらポスターの顔写真を切り取り、男に優しく気遣う女。実は彼女にも過去に同情に値する犯罪歴がある。痛い。
男のことを思うがゆえの女心から自首を勧めるのだが、男は青年の復讐を果たすべく殺人を実行する。復讐を完遂した佐藤も飛び降り自殺。佐藤が最後の仇の女を追い込んで自白を迫るシーン、青年のことを回想するシーン
に挿入される画質が作品の痛々しさを高める。個人的には好きな作品ですね。かきむしられる痛々しい感覚が心の襞を刺激するというかなんともいいねぇ。