むかし、大映が倒産した後に大島渚と増村保蔵が対談で面白いこと言って
たな。自分らが映画会社に入った頃はたまたまこの業界がすごく景気が
良かったけど、映画産業なんて元々ヤクザとサヨク崩れのインテリ、
それも20代のどこにも行き場の無かった若造が寄り集まって作ったもの
に過ぎなかった。それが戦後、文化的な飢えに需要と供給がはまって
好況に沸いたせいでみんな勘違いしてしまったと。我々も会社も世間も
映画産業が一流の業界と勘違いしてしまった。内情を視ると経営は
デタラメだし、経理はドンブリ勘定だった。映画なんて一時の流行に
過ぎなかったんじゃなかと。
これはそうかもしれないよな。おれはその勘違いの最大の元凶は黒澤明
だと思うし、現在だと例えばゲームとか出版業界も同じような勘違い
をしてると思うよ。