横レスだが、beautiful story、ヒューマニズムという点はむしろ山田の嫌うとこだろう。
フジテレビ版の「男はつらいよ」で主人公、寅さんを死なせた山田だが視聴者の抗議にて
映画では死なせない。(テレビ版は初回しか見てないけどさw)
山田は悪く言えば自分を貫かないし、良く言えば客の意見を取り入れる耳を持っている。

「男はつらいよ」では人を死なせない山田だが、「吹けば飛ぶよな男だが」では少女を殺すし
「馬鹿が戦車でやってくる」では知的障害の男を自殺させる。「幸福の黄色いハンカチ」でも
健さんが酔っ払いを殺す(殺し方が拳銃でズドンではなく、相手の頭を何度もブロック塀の角
にぶつけるので生々しい)、「家族」でも乳飲み子を殺すし爺ちゃんも殺す、「たそがれ清兵衛」
でもナレーションだけだが主人公の清兵衛は3年後に幕府側ということで死ぬ。「馬鹿まるだし」
での工場のリストラで、労働者が首を吊ってプラ〜ンと足が写るカットはなにげに怖い。

人物描写が希薄、類型的なのはシリーズものが多いから当然で、黒沢の三四郎や三十郎でも
同じこと。シリーズものは黒沢も嫌ったが2回やってるし、山田は嫌うことなくやっている。

ヒューマニズム、beautiful storyを守ってファンサービスをするのは黒沢や山田。「白い巨塔」で
財前が勝って終わり、「華麗なる一族」で大蔵大臣が笑って終わりなど社会派バッドエンドが
山本薩夫、「復讐するは我にあり」で骨になっても世に残る殺人鬼で終わり、「カンゾー先生」
で広島原爆で終わりとするは鬼才・今村昌平。

やっぱりヒューマニズムを守る黒沢や山田のほうが一般的には受けがいいし、有名だな。