「事件」もいい作品だ。
腹芸で穏便にもめ事を収めるのが美徳とされるこの国にあって、法廷物にがっぷり取り組んだ作品として面白い。
検事対弁護士のガチ勝負、多彩な証言者のミスリードも交えて話は進んでいくが、
徐々に露わになっていく複雑な人間関係、情の交錯・・・人が人を裁くことの難しさを佐分利信にサラリと言わせ、
肩ひじはらず手際よく見せていく監督の手腕は素晴らしい(新藤兼人の脚本の貢献も大だが )。
永島を「悲劇の少年」として捉えず、大竹しのぶも、だだの純朴な女としては描いていない。この冷めた視点もいい。
松坂、渡瀬についても感想はあるがキリがないのでこの辺で。
長文御免