頭の「昭和13年のことである・・・」

あと7年で・・・それを考えながら、この映画を
見ると感慨は深い。戦後、小説「細雪」が発表された
時の読者は、つい10年前にあったはずの平穏な日々
を想起しながら、この作品に接し、失われた日々
を哀惜したに違いない。京都・大阪・神戸の
関西地域の富裕さ、上本町・船場・嵐山・箕面・梅田
岡本といった地名が持つイメージ、すべてがこの映画に
凝縮されて、現代においては、もはや時代劇といっても
よい作品世界だが、こういう生活があったという
ことを知るだけでもこの作品の価値はある。