文芸座にて『忍ぶ川』。最終回は入り半分強、モノクロスタンダード、時折キズ目立つが全体としては上々の
プリント。 オヤジ幻想の印影が濃過ぎる小巻とハナっから恋仲になってるし、お話しとしても観念的という
のか、かったるいというのか、中盤手前までは何だかなあという感じで鑑賞していたが、この作品世界に慣れ
つつ、かつ夕方早くの銭湯の湯殿で猛り狂う加藤剛とか、「ヤるモンですか!!」激萌の小巻あたりを経過で
きると非常に居心地良くなる。信欣三も、ポイントの高い役柄で出ている。初夜の前幕、花嫁が階段を登るシ
ーンにドキュメンタリータッチが入っていて、ドキドキ。
一般的な、不幸に堕ちていくストーリーとは真逆な展開なので、終盤のシークエンスの一つ一つが、不思議に
感銘深い。ラストの、菅井きん登場の、汽車客席でのシーンが、またよい。