洗練の美学 中平康
二年前にスレがあったのだが・・・
デビューから晩年まで広く語ろう。 「牛乳屋フランキー」がすごい!!
「狂った果実」以前に太陽族をギャグのネタにするなんて! >>49
「牛乳屋フランキー」は「狂った果実」のあと。セルフパロディですよ。 >>50
そうか?どっかで見たデータで、俺も「牛乳屋」のほうが先だと思ってた。 こんなかんじですね。
http://www.jmdb.ne.jp/person/p0279200.htm
中平康
監督
6. 1956.07.12 狂った果実 日活
7. 1956.09.11 狙われた男 日活
8. 1956.10.01 夏の嵐 日活
9. 1956.12.05 牛乳屋フランキー 日活 ラピュタにて『あした晴れるか』鑑賞。
面白い。芦川いづみのコメディエンヌぶりが見事で、素朴な裕次郎ともども、中盤過ぎまで
一気に疾走する。ここまでよく出来ているので、阿部徹以下のギャング団が出てくる後半の
失速が残念。裕次郎主演のカラーシネスコだから、暴走も押さえ気味。人名が多数散りばめ
られた理論で固めた早口の台詞は監督の手によるものか?
ラストの、曇硝子に指で書かれる一節のワンシーン挿入、ああ、センスの人だなを感じる。
全体がこれで統一できていたら・・・、なんだろうけどね。
結構、客入っていた。あした混むかな。 またラピュタで『結婚相談』。いくらトウが立ってきたとはいえ、この役は酷いよなあ、と思いつ
つ、長年みてみたかった作品。まあ、1か月後には四姉妹映画の長女役(『四つの恋の物語』)だ
し、その後も『大幹部・無頼』とかで印象的だから、いいけどね。
やり手婆役の沢村貞子が結構凄いことになっている。弟が中尾彬だって、全然分からなかった。
処女と引き換えに50男の後妻に収まろうと決めた以降の中盤以降の開き直りがもうひとつ中途
半端というのか、力演だけど、話しとしてよく分からず、グダグダ展開。細川ちか子が出てくる
終盤の展開も、わりと読めてしまうから、今日からみるともっとえげつない展開でないと納得し
ない。でも当時としてはかなりの描写かな。逆に今は、放送できないか。
いずれにせよ、この作品もヒロインに対する徹底的に残酷な演出が心に残る。 「月曜日のユカ」観た
こんな映画もあったんすね
予備知識なく観て、全然風化してないんでびっくり
これだから昔の邦画は侮れない 古典的な手法で撮った映画が古びないのはまだわかるんだけど、
あれだけ当時としては斬新な手法で撮っても古びないんだから凄いよね。 >56
映像だけでなく、音の使い方もいい
得にフランクの命令聞いてクラブで5人にナンパされるまでに踊ってる曲が
クールジャズっぽくって今聴いても超カッコエエ
この曲って黛敏郎のオリジナル?それとも既存のヤツ?
知ってる人いたら教えて
「青春残酷物語」はピンとこなかったけど、「狂った果実」は凄いと思った
ただ、衝撃的なラストがなかったらふう〜ん、止まりかなぁ・・
当時を知らないオレとしては、客観的に見て石原裕次郎の魅力がなさすぎで
単なる粗暴なとっちゃんボーヤにしか見えないのは残念だなぁ
増村同様、も少し名前が出てもいいと思う http://www.nikkatsu.com/movie/nakahira_site/schedule/mondo/
は、にっかつのHPなのに、中平康の名前がしっかりと
中原康
とあるではないか。
Mondo
モンド!ビザール!!トラッシュ!!! 中原康のけったいな世界
ダメだこりゃ オレはDVDで「狂った果実」「月曜日のユカ」みたんだが・・ 私がAmazonで見かけたことがあるのは
『狂った果実』『月曜日のユカ』『あいつと私』『紅の翼』
『黒い賭博師』『黒い賭博師 悪魔の左手』
『ユカ』以外は俳優がらみで発売されたって感じね
『危いことなら銭になる』あたりが出ないかしら 1964〜1965年頃の作品を全部DVD化して欲しい。 田坂具隆+左幸子の「女中ッ子」見てるんだけど、
チーフ助監督が中平だな。
タイトルバック、電車から外景が非常に印象的で、
ずっと覚えていたんだけど、これ中平だったのかな? 闇の中の魑魅魍魎は1971年の優秀映画鑑賞会日本映画ベストテンの8位に選ばれてたな。 エッ? あの石井輝男が撮れば傑作になっていたかもしれない退屈でケッタイな
シャシンがですかい?
中平康は、デビュー10年で燃えつきたんとちゃいますか? 牛乳屋フランキーを薦められて見たけどかなり辛かった…。
だけど、昔の人はこれで笑えたんだよね?
これとか駅前シリーズとかドリフとか何がおもしろいんだかさっぱりわかんない。
これを薦めてくれた人は年配の人だったのかな?(ネットコミュニケーションのため相手の年齢不明) >「狂った果実」
冒頭の25分くらいのところで、
津川雅彦が、裕次郎をある家に探しに行くと、下着姿の女がいて
津川を誘惑する、みたいな雰囲気になる。
そこに裕次郎と仲間たちが帰ってくる。
帰途での津川&裕次郎の会話で
「あの女、昨夜、俺たちと××してヘトヘトになってたんだ。
でも一番惚れたのが、一目見ただけのお前(=津川)だってよ」
という台詞があったけど
「××」の部分がよく聞き取れなかった。
何と言ってたの? >>71
当時の時事ネタで現在は既に意味不明な箇所が随所にあるせいでしょうか?
「牛乳屋フランキー」は面白いと思いますけどねえ。あの頃のフランキーの運動
神経は凄いけどねえ。実はかなりの努力家で鍛えていたんでしょうね。
駅前は俳優の珍演や映画の中で見られる当時の世相(ロケや美術も含め)
を面白がれないと辛いかもね。ドリフは自分ももう辛いなあ。あれだけの番組
を毎週練り上げて作るのはタレントもスタッフも体力的・精神的に大変だったとは思いますが。
TVのドリフはともかく、映画のドリフは破壊的で自分は結構好き。ハード
スケジュールの合間に撮っているので、メンバーもよく分からないうちにヤケみたいな映画が出来上がっている。 訳あって、夏の嵐がみてみたいのですが
この作品は今もみることができるのでしょうか?
sageていてはレスが期待できそうにないのでageます >>76
ネガ・プリント共現存するんで、観れますよ。
以前にCSでも放映していましたし、数年前の
ユーロスペースの特集でも上映していました。
ただ、NFCの所蔵プリントでの上映だったので、
一般上映用のプリントはないみたいですね。CSにリクエストしてみれば? DVD発売するように、日活へお願いしよう!
五本だけリクエストできるのだとすれば何にする? >>81
そうだね、自分もその三本を希望。これらが製作された昭和39年は、
これに加えて『月曜日のユカ』もあったから、充実していたね。
特に、『おんなの渦と淵と流れ』は、3部構成みたいになっていて、
最初は普通にドラマが展開して、2部は仲谷昇の主観から、3部は稲野和子の
主観から描く、といったユニークな作品だった。
でもな〜、3本とも主演が仲谷昇だからな〜。名優だけど、スターバリュー
に欠けるしな〜。望み薄かな?ところで、この間観た『しなの川』での仲谷、
凄かったよ!どう凄かったは…、ここでは言えない! 今は無きシネ・ヌーヴォ梅田で、「月曜日のユカ」を月曜日に見た
のを思い出した。
このスレ的には、「喜劇 大風呂敷」はどうでしょうか。 「猟人日記」最後に行くほど、気持ち悪くなってくる。
戸川昌子、不気味で良かったです。それにしても、凄いストーリー 中平さんは監督としての評価は高いけど、人間的にはかなり問題が
あったみたいだね。要はかなり威張る人だったらしい。
助監督だった西村昭五郎なんかもボロクソに言ってるし、裕次郎からも
嫌われていたという話。まあ、観客には関係ない話だけどね。 月曜日のユカのDVD をみた
すごくお洒落だしえ六手すごい印象に残る映画だった 「危ない事なら銭になる」「光る海」「泥だらけの純情」「月曜日のユカ」見て好きになりました
20代なのでリアルタイムで見れなかったし
それどころか作品自体なかなか見れないのが悔し過ぎる
西村昭五郎はソリが合わなかったみたいだけど、その下の加藤彰は好意的だね。加藤は「植物群」や「女の渦」の脚本にも参加していたし、「雌猫の情事」の画の凝り方など、相通じるセンスを感じる。 中平が威張る人だったというのは有名な話だね。
この人の事をよく言う映画関係者は少ない。
ま、観客には関係ないけど。 DVDの数少なすぎないか??
裕次郎以外の作品ももっと再発してほしいよ
川島のだって最近すごい出てきてるし ちょっと迷っていたが、中平まみ著『ブラックシープ映画監督「中平康」伝』を購入。
資料としては、いいのかな。かなり寄せ集めっぽい。写真もわりとあるから、2600円ならいいか。
ビッシッと1本、作家論なり作品群の全体像を論じたものが入ってたら、だいぶ印象も違うような。 西村昭五郎さんが、「映画・裕次郎がいた」イメージフォーラム
1987年10月増刊号で中平監督の話を紹介。
「中平組ばかり17本やりました。・・・略・・・あの人ヒステリーで
キャンキャンうるさくて付き手がいないんですよ」
「他の助監督は敬遠していた」
「気が小さいですね」
「テスト一回目でうまくいかないと街の真ん中でも「何やッテンダー!」って
大騒ぎしますからね。それを知らない人があわてたりするとよけいに怒鳴るから」
「裕ちゃんと中平さんはあんまり仲良くなかった」
「中平さんは威張ってる人だし、裕ちゃんはそういうの好まないからね。」
「中平さんは「ヨーロッパのヌーベル・ヴァーグは俺の真似をした」と言ってました」
「あの人はすごい映画青年で、ビリー・ワイルダーあたりのちょっと洒落た映画が好き
なんですよ。カットからなにから全部覚えていて結構自分の映画に導入していましたね」
興味のある人は探して読んでください。 あいつと私が好きですね。
日米安保が裏になっててちょっと政治に負けた学生達の
行く先は・・みたいなところに無理のないものがあって、
いいですね。
時代は違えど共通する若者の心をうまく表現していて
とても共感できました。
結構長いせいかテレビで見たときはかなりカットされて
いてビデオを見て驚いたようなところもかなりありまし
た。 一昨日に狂った果実を見たけど相当いいね
画面からその場の空気感が伝わってくるようで
ラストの迫力もヒッチコックばりで素晴らしい
もっと評価されていい作品だと思う 猟人日記の仲谷昇が見たいんだけど見る機会が全然ない。
数年前都内で見たけどあのときは丸山明宏目当てだったからなー。
猟人日記ってビデオも出てませんよね?
CSでもやった記憶がない、やってたのなら見逃した。 20日(日)よりラピュタにてモーニングショー、『月曜日のユカ』上映age。 松竹時代後輩助監督シゴキage。
「しかし、ネガは違うぞ。導火線が燃えている爆弾のように丁寧に扱え」 長野松竹相生座の石原裕次郎特集にて「狂った果実」鑑賞
きっちりスタンダード・サイズで上映してくれて感動 文芸座GS特集『ザ・スパイダーズの大進撃』上映age。
27日(土)9:55〜、14時〜、17:20〜、20:40〜。 文芸座にて、『ザ・スパイダーズの大進撃』。中平監督最後の日活作品。カラーシネスコ、プリント状態良好。
トークショー終了後の客入りは薄い。
この頃から器用なマチャアキ&井上順の小芝居で、終始楽しく観れる。若きムッシュかまやつは見た目少々キツ
いが、映画の音楽担当の一人としてクレジットされていた。中平ギャングの一味、草薙幸二郎が常時三角牛乳ち
うちう(バーでは、もちろんミルク)していたりとか、意外に本作では魅力薄な真里アンヌが登場すると中東風
音楽が流れるアタリ、“らしさ”が感じられつつも、何だか中途半端というのか粘りが足りない感が残るのは先入観
なのか? ジャンルへの言及なんかは、とても望めない状況か。 和泉雅子が、非常にかわいい。 ラピュタモーニングにて『密会』。日曜日だったんで、補助椅子出現。モノクロシネスコ、プリントの状態は良好。
のっけから濃厚な性愛描写、その教え子に狂ふ教授夫人が桂木洋子なんで、なかなか見応えがある。 しかし、その
後もさしたる展開はなくサスペンスが高まらないのは、やはりこの主演男女のせいか? 細川ちか子がシレッと、あ
んたら3か月に1回くらい? と言うあたりと、桂木の甘ったるい声の落差が、どうしてもつらい。お気に入りの峰
品子の存在も、いいんだか悪いんだか。 監督としてはどうしても撮りたかった作品で、自ら脚本も執筆している。
『学生野郎と娘たち』が、いろいろな点から問題作で、
会社からにらまれるきっかけになったようだ。 「若くて、悪くて、凄いこいつら」の時は、クランクイン前まで
高橋英樹ら若手俳優を相手に、芝居の稽古を連日熱心にやっていたらしい。
完成した映画はめちゃくちゃ(だが、そこがいい)だったが。 「狂った果実」「猟人日記」「砂の上の植物群」…。
全部なつかしい。また見てみたい。特に「猟人」と「砂…」。稲野と西尾…。
どちらもファンになってしまったが、実際にはあまり他には見たことがないな。 ラピュタ中原早苗特集モーニング
『紅の翼』『才女気質』『学生野郎と娘たち』『当りや大将』連続上映
文芸座サスペンス特集 『猟人日記』上映
2008春のプチ中平祭age ラピュタにて『才女気質』。モノクロシネスコ、多少キズあったが、全体としては良好なコンディション。
ピザ化が完了した轟夕起子をもってして、小走りでタッタッタ、と1週間ロケを行った1950年代末期の京都
木屋町の街並(貴重!)を駆けさせる奇跡の作品。ダンナ役の大坂志郎との組み合わせが絶妙で、彼の役者と
しての評価がどうだったのか、思わず辿り直そうとしてしまう。誰もが指摘するように吉行和子のオボコっぷ
りはタダゴトではないし、バアさん役の細川ちか子、惚れっぽい渡辺美佐子、お約束そのままに立候補→最下
位落選してくれる殿山泰司、そして中平ヒロインの中原早苗がガッチリ固めて、葉山良二までもがよく見えて
しまうほど。イノダコーヒで適宜サボりつつ、適当に仕事して、碁盤の目の中だけでじっと暮らしたくなる。
やはり公開当時は批評的には完全に無視されているようだが(キネ旬ベストでは杉山平一だけが「描写の手段
としての笑い」を評価し年間8位に位置づけ)、テンポとリズム、すべてのイベントにタメを作らず湿っぽく
もならずエピソードを次々と畳み掛けてあたりは、今日でも存分に堪能できる。 『猟人日記』面白いなあ。
『学生野郎と娘たち』は全然ダメ。
『才女気質』は吉村公三郎が撮りそうな話で面白かった。 文芸座にて『猟人日記』。モノクロシネスコ、ほぼニュープリントもわずかに雑音あり。日曜16時の回、
入りは6割程度。 いくらなんでも分かるだろうな仲谷のなりすましフランス2世などには苦笑しつつも、
お縄になるまでのちょいピンク映画風な前半部分は尻上がりに結構盛り上がる。まさか今日には逮捕され
ないだろうとのモノローグの瞬間、手錠→収監となる呼吸はさすが。 北村和夫が登場してからの後半部分
も悪くないが、ちょっと薄味というのか、もっと緊迫した謎解きモノが邦画でもいくつもある気がしたので、
どうにも物足りない。60分を30〜40分に凝縮してテンポよくみせてくれれば、作品としてももっと評価さ
れるものになったか? 戸川の画もかなりキテいるが、2カットあった骨無し新生児の動く人形はNG。 ラピュタにて『当りや大将』。モノクロシネスコ、ニュープリント。
オープニングだけは快調だったが、全体としては掌中のオリジナル脚本を強奪された新藤兼人が
「キラキラするような才気の片鱗もなく、どんよりよどんだものがみなぎっていた」と遠慮がち
に述べている(『わたしの出会った人たち』)のが妙に納得できる出来。終盤の湿っぽい展開は
カンベンだし(ブランコは『生きる』のパロディなのか?)、オチも安直に過ぎる。
ガラス修理屋のネタはそこそこ面白いが、序盤、期待の当たり屋アクションが足りない。長門の
放蕩生活がダラダラ。スチール写真も含めて、ドキュメンタリーっぽく釜ヶ崎の猥雑さを出そう
として、役者も熱演するんだが、何だか綺麗キレイになっているのが不思議。中原は大胆にチラ
シどおりの素晴らしさ、哀れ過ぎるピザ轟も好演。姫田キャメラマンによれば、片っぽの靴でさ
え油断していると盗まれるというシビアな状況でロケセット作って頑張ったということだが・・。 『狂った果実』は分かりやすいんだろうが、『紅の翼』の位置づけなんかが難しいのかな。
当時、荻昌弘がアレコレ理屈つけて好意的な評論を残しながら、ベストテン投票では入れてなかっ
たのを娘さんがちょっと怒ってる。淀川さんは、8位に入れている(総合40位)。 『闇の中の魑魅魍魎』、恒例シネマヴェーラ異形特集にて、ついに上映age。 ♪ひーとあわ ふかせろ
にーくいやつ
さんざんいいこと
しーやがって
ごうつくばりの
ろくでなし
しちめんどうだ
はっとばせ
くせーになるから
とっちめろ…だっけ? うろ覚え
むかし、深夜テレビで「若くて、悪くて、凄いこいつら」を見たけど、
印象に残ったのは、タイトルバックで流れたこの歌。
今、“食わず嫌い”に高橋英樹が出ているのを見て思い出した。
シネマヴェーラにて『闇の中の魑魅魍魎』。カラーシネスコ、ほぼニュープリント。
序盤はロリ全裸→ハラキリスプラッターで飛ばすものの、以降中盤までは監督が最後まで保持したと
思われるプログラムピクチュア的な一定水準でサクサク進んでしまうのが惜しい。タイトルとは真逆
に、昼だろうが夜だろうがやたら照明あてて明るくしているのはカンヌ狙い? 麿赤兒が好青年に見
えてしまうくらい、不潔とも傲慢とも無縁な、猥雑さが全く出てこないのは何故なのか。いくらでも
面白くなりそうな素材。脚本の新藤本人とか吉村公三郎アタリが撮ったらどうなったかと、つい妄想
してしまうが。 それでも傲慢不遜そのままな加賀まり子とか零落ながら輝く扇ひろ子のがんばりで、
後半になるとわりと力作じゃねえ?と評価を上げながら、ラストの血糊ドバドバ総集編をバックでの
シークエンスはもう一つカタルシス高まらず、チョン。金蔵もあのオカンの存在はツライと同情するが、
今後はwikiに過剰明記されているように、本作を中平自伝としてどう観ていくかという展開になるのか。 ラピュタ女優特集総集編第1弾にて、
意欲作『密会』&怪作『結婚相談』上映age 「密会」始めてみたけどやっぱりうまいね。
桂木洋子さんもよかった。
相手の学生の役どころがちょっと描き足りないかな。
正義感で証言するってだけで、自分や家族の将来について、
ほとんど何も描かれていない。妹との生活もゲームみたいだな。
まあ中平さんはこの学生にはあまり興味がいないんだろうけども。 神保町シアターにて『美徳のよろめき』。モノクロスタンダード、16ミリフィルムニュープリントとの
ことだが、若干キズ、このときの映写は下部少々はみ出し、雑音も少なからず。 全裸deごはんを熱望
する葉山良二は、彼がスカした役で出てくる瞬間、どんな映画でも瓦解の予兆を感じさせる気がするの
だが、本作でもかなりマイナス感。粗暴な男爵役の三国快演、宮城千賀子もかなりハジけ、渋谷映画の
暴力破壊キャラを彷彿させる安倍徹なんかも良好ながら、原作者三島がこんな愚劣な映画はちょっと考
えられないって怒ったのとはまた別に、監督が自ら語り意図しチラシアオリに書かれているほどコメディ
には徹しきれていない印象で、場内の反応も “苦笑” が多めだった。 月丘をフォトジェニックに捉える
という点では悪くないというのか、銀座のテーラーを引き回してハナ高々なエピソードを思い起こさせて
くれるが。
神保町シアター、森雅之特集にて、『光る海』(2時間6分)上映age ラピュタにて、“孤高のニッポン・モダニスト 映画監督中平康” 特集上映age
4月12日〜5月30日、フィルセン所蔵6プリント含め、34作品一挙上映。 ラピュタにて『狙われた男』。モノクロスタンダード、フィルセンプリント。ほとんどキズなし。
殿山泰司、北林谷栄が特出扱いという超地味キャストながら、ロマンポルノ転換後も出演を続けた南寿美子が
ヒロインだったりするのはマニヤ心をそそる。 銀座裏通りのオープンセットと夜間ロケのみで展開、2、3
ハッとさせるショット、最後のほうフィルムノワールタッチになるあたり、力作ながら全体としては才気溢る
るというまでには至らず。キャスト以上に、新藤兼人によるお話しの筋がツラい。それでも浜村純の過剰な造
形は後年の中平キャラだし、ラストのゾンビグロ描写、その毒消しかのごときエピローグなど、らしさは存在。
音楽ドラム担当としてフランキー堺がクレジット。 監督としては自信作で、ボクのデビュー作はコレですと
言い張っていたが『狂った〜』の評価が高まると言わなくなったというエピソード(西河克己監督による)が
微笑ましい。 ラピュタにて “女太陽族映画” な『夏の嵐』。モノクロスタンダードのフィルセンプリントは、相変わらず
良好なコンディション。 モラル云々以前に、今日からすると相当イタいだけの自意識過剰女子学生執筆
原作で、岸恵子とか久我美子がヒロインやってたら相当辛かったと思われるが、北原三枝は裕次郎カミさん
に収まってしまったのがやはり残念に思われる手足腕腿出し惜しみなしの、堂々たる佇まい。津川雅彦の立
ち位置が序盤から面白くて、いっそのこと北原と、と乱暴に考えていると、終盤本当にそうなるんで、ちょ
っと驚かされる。こりゃあ、当時、非難囂々だろうなァ。 それでも力まず、撮っている。
お父さんの設定、お母さん、本人特別擁護学校の女教師、ネコさんが準二枚目で処女捨て場とか、三橋達也
の影がすっかり薄くなる、監督の怖いモノなし爆走の初期作品。
続いてラピュタにて『地図のない町』。モノクロシネスコ、プリント状態良好。
監督どーしちゃったの? と言いたくなるくらいの大マジ社会派作品で、葉山良二のラストでの市民正義の
カタマリみたいな台詞にひっくり返ってしまう。全盛期、橋本忍の脚本でオレだって本格作品も撮れるんだ
ぜ、ということか。ハッタリ&ケレン味はないが、会社に反対されてボツとなった幻の裕次郎主演への当て
つけか、映画内映画館で『狂った果実』が上映されて、画面にもハッキリ出る。裕次郎映画であれば、後年
再上映の機会もケタ違いだったろうし、葉山だとどうにもシビアさが感じられないのが辛い。
滝沢修は映画では悪役のときのほうがよいと思うが、本作では大暴走で、ちょっと凄いことになっている。 「地図のない町は」60年安保の年に「デモよりテロ」を主張したとして
小川徹が熱く論評していたのを思い出す。
「誘惑」や「街灯」とはがらっとタッチを変えた
骨太な演出に改めて天才たるを実感。 「砂の上の植物群」を見ると田中登、小沼勝、加藤彰ら、ロマンポルノ映像派の監督たちの前史的存在だったといえるんじゃないか。
田中のデビュー作「花弁のしずく」で中川梨絵がスタンドの明かりをを明滅させるシーンは「地図のない町」の南田洋子の同様の仕草を想起させる。
そういえば田中登が「女郎責め地獄」で新人監督賞を受賞したときの審査員の一人が中平であったはず。 ラピュタにて『誘惑』。モノクロスタンダード、これもフィルセンプリント、状態たいへん良好。
文句なく面白い。左幸子はもちろん特筆すべきイキイキぶりだが、全体としては達者な群像劇。
千田是也がいい味を出しているし、もちろん轟夕起子は巨体を揺らしつつノリノリ。渡辺美佐子
が化粧を始める呼吸がとにかく可笑しいし、安井昌二のとぼけた佇まいもいいんだな。
登場人物それぞれの音量を抑えたモノローグが多用されていて、普通これは煩わしかったり、安
易な手法だと感じられがちなのに、本作では全くそうなっていない。洋品店&画廊と向かいの喫
茶店の2階建てのセット、それを活かしたパンフォーカスのロングショットなどなど、細部もい
くらでも語れそう。あと小沢昭一、中原早苗、殿山泰司そして芦川いづみ、みんな、よかった。 増村は「巨人と玩具」のころ、中平作品では「誘惑」が一番面白いといっていた。 『殺したのは誰だ』。日曜日なので阿佐ヶ谷に上映50分前に行くが、すでに整理番号41番。
モノクロスタンダード、またまたフィルセンプリント、状態良好。最終的な入りは補助席追加の満席。
菅井一郎主演の地味作で、お話し自体もラストを含め、いくらなんでも暗すぎると思うのだが、中盤
過ぎの、伝説の13日間完徹の夜間撮影の成果という “仕事” をやろうとする千駄ヶ谷での何かの裁き
を受けているかのようにさえ映る絶望感にあふれたシークエンスが凄い。フランク殿山がふらりとやっ
てきて、それをさらって逝くあたりもまた運命の綾を観る者に深く刻む。一方、これも丸4日間これだ
けを撮り続けたというハスラー旭のシーンはストーリーとうまくなじんでないように感じられ残念。
それでもスターになる以前の彼は本作でキラリと光っていた。ぶらぶら下がるハエとり紙も印象的。
公開当時の批評もよかったのは、“生活苦”のリアリティが、当時はより痛切だったからかな。 ラピュタにて『混血児リカ』。カラーシネスコ、退色が進み、時折キズ目立つが、わりと状態のよい
プリント。チミモーリョーの後の作品で、あまり期待していなかったのだが、結構面白かった。
必然性なくビキニ姿で歌い踊る棒読みハーフのヒロインの図のシーンで観客一人壊れる。細かくカット
割ってテンポよく3本分くらいのお話しを展開。サッサと殺人犯して感化院にぶち込まれてもタイマン
1回後、即脱出。ただ東宝マークのせいか(?)、血の噴出シーンをはじめとする数々の残虐描写がカ
ットされていたような・・・。 ラストの木下カルメンのパクリ大字幕にも場内爆笑。この時期になって
も映画的センスは健在だ。内田良平は友情出演とのこと。 第一作が面白かったので、翌日『混血児リカ ひとりゆくさすらい旅』。カラーシネスコ、一転して
ほぼニュープリント。 テンポのよさ相変わらずも、ストーリー自体は先が読めないことはなく少し
は真っ当になったか(良くも悪くも)。スプラッタ&残虐描写もだいぶ控え目。
本作でも歌い踊るヒロインながら、脱ぎは全くなくなる。その分(にはならないが)、銃刀にも素
手で立ち向かう格闘があまりにも非現実的な強さ。序盤、汽車旅グルメを満喫しつつ北へ向かうリ
カに次々と襲い掛かるがなぜかアッサリかわされグモり続ける刺客たちのグラサンアップ&へんな
効果音の繰返しシークエンス、中盤、効果音風フォントのサイレント映画っぽい字幕かぶせての浜
辺でのほのぼのレイプ、終盤の船内日本人多数(ヤクザ連&慰安婦)を白人たちがアラホラサッサ
と片付けちゃうとことか、“らしさ”存分。 ベンチャーズ作曲の主題歌流してのラストのキャスト、
スタッフロール(YouTubeで観れます)もカッコよい。
吉村大兄を災難にあわせず、第三作も撮ってほしかったですね。 1973年頃、当時人気番組だった「ラブラブショー」に「混血児リカ」に出ていた宗田政美が登場したことがあった。彼女の父親がわりということで中平康が出ていたが、ベレーをかぶった初老の人という印象だった。もっともまだ40半ばだったのだけれども。