この作品は、内田吐夢のめずらしい現代劇で、もっとも認知度が高いのかなぁ。
名作だけど、「宮本武蔵」5部作とか「大菩薩峠」3部作は
とてもいい、と思うけど、見ている人も少ないし、だいいち見る手段がない。
飢餓海峡とちがって、時代劇にはリアリティを追求したというよりも、
ものすごい様式美を重んじたひとだということがわかる。
「花の吉原・百人切り」なんか、ストーリーさえどうでもよくて、
桜が舞い散るところをひたすら、刀を振り回して、つぎつぎときってゆく画面が
とりたくて、作ったとしか思えない。
海外でも、ついぞ内田監督の名前を口にする映画ファンはほとんどいない。