増村というと、女性を中心に撮っていたという印象が強くて、
この作品のように、男性が中心になっている作品はあまり評判にはならないけど、
黒白画面の禁欲的な映像が忘れられません。
意外と、このタイプの作品を、増村はのこしていて、若尾文子中心のものと
比べると、影が薄いように思われますが、田宮二郎の一連の「黒」シリーズ、
市川雷蔵の「好色一代男」や「華岡青洲の妻」、「兵隊やくざ」シリーズと
かなりの量にのぼると思います。
華岡は、やはり女性中心なのでしょうが、しかし、市川が中心にも見える、
また、「兵隊やくざ」などは、シリーズの第一作で、他の監督にバトンタッチして
いますが、ぼくがファンのせいか、他の監督だと、相当見劣りがするんですが。
ただ、黒シリーズなどは、よく評判になりますが、増村の男性中心映画の一角と
してとらえた映画論はまだ読んだことがありません。