子供だったら誰でも持ってる残酷さ、とノスタルジー。この二つに目を向ければ
たいていの観客は「あー、あるある」って感じで騙せる。まるで自転車に補助輪を
着けて走ってるのと同じで簡単なやり方。だからせめて脚本をもう少し磨いたら
よかったのに。

原作ではもうちょっと意味のある役割らしいけど、大阪の女の子、映画であれっ
ぽっちの使い方なら思い切って全部切り捨てた方が中身が濃くなったのでは。
仙道敦子に与えられた、あまりにもありがちな「戦争に翻弄される乙女の恋心」
エピソード、ベタすぎだし取って付けた感ありすぎ。「少年たちは軍歌しか知ら
ない」ってくだりは原作なんかにもあるの?あれもちょっとわざとらしすぎ…。
ああいうのを入れれば公開当時はウケが良くなって、教育関係から推薦映画に
され易くなるという営業的側面もあるんだろうけど。

それにしても仙道をもっともっと綺麗に撮ってあげなよ。せめて岩下志麻の半分
くらい力入れてさぁ。俺は日本映画界のことをあんまりよく知らないけど、篠田
っていう人が、さぞかしカミさんに頭が上がんない人なんだろうなっていうのは
この映画見ただけで想像つくぞw。