上から続きます。

『役作りってどうしたらいいのかわからない。』と悩む陣内さんに
『役作りなんていうのは考えなくていいんじゃないですかねぇ?』
『お客さんが心を動かされるのは、「お芝居上手いな」とか「役作りしてるね〜」という事よりも、
いかにそこに演じてる人間がいかに誠実に自分の心を動かしてるかだと思うんですよ。・・・それらしい芝居をする事はできるんですよ。
でもそうじゃなくって、それらしい芝居とかじゃなくって、
自分が本当にその場で心を動かしてるかっていう否かどうかっていうのは
お客さんって実はものすごく敏感に感じてたりするもんだと思うんです。
その積み重ねでやっぱり、あの、涙を流して下さったりするので、
とにかく感情で怠けない事ですよね。』と。
お話を聞いていて、本当に女優さんなんだなと思いましたね。
〜後略〜 サウスポー99% ttp://ameblo.jp/na1108/entry-10632308536.html

目立たない小さい一文ですが、これが彼女の演技を解明する一つのヒントになっていると思います。
芝居の養成所は沢山あり、そこで何年も演技の訓練を受けている人は多い。
笑う演技、怒る演技、泣く演技、ただでさえ女優志望の美貌で筋の良いエリート達が
お金をかけ長期間訓練すれば、たとえば「泣く演技」も完璧な演技ができるようになる。
でも上の彼女の文はそれを否定している。
「そこに演じてる人間がいかに誠実に自分の心を動かしてるか」
とは本当にそう思うかということ、技術やテクニックではない。
映画やテレビドラマなんて、見方を変えれば所詮絵空事、現実ではない架空の世界で脚本家は視聴者をいかに面白がらせようと工夫し、
役者はいかに本物に見せようかとする。観客も架空の世界とわかっていて面白ければ良いと割り切っているともいえる。
でも少数の役者の中には、その架空の空間を歪ませ、疑似ではあるが本当を作り出せる人がいる。
役者自身が本当にそう思うことで、架空を本当に変えていってしまう。
(普通の人間には演技をしている時でも消せない自意識を消せる)