私が以前他所に投稿したやつのコピペでつ↓(長文すまそ)

最近は戦前の邦画を観る機会が多いのですが、今日観た映画が
ちょいと拾い物だったのでその報告を。
「ハナ子さん」東宝(1943)
主演 轟夕起子、監督 マキノ正博

戦時下の昭和18年公開作という事で東宝のマークが出る前に
まずは「撃ちてし止まん」のスローガン。
あー、いわゆる辛気臭い国策映画かと思いきや、いきなりタイトルバックの
映像が何と女性ダンサーの群舞!
しかもモロにバスビー・バークレー調の俯瞰撮影ですよ。
まるで「泥酔夢」の万華鏡です。(ちとスケールダウンですが)
敵国のミュージカルシーンをものの見事にパクってますw

ストーリーは、ハナ子さん(轟夕起子)と恋人(灰田勝彦)のアツアツぶり→
結婚→出産→夫の出征を縦軸に、愉快な家族やご近所さんとの交流を横軸に
底抜けに楽しいミュージカル仕立てで展開していきます。
とても戦時下とは思えない程、皆のびのび溌剌としており
観てるこっちが怖いくらいw
バケツリレーの防火訓練はおろか空襲の時でさえ笑いが絶えない徹底ぶり
笑いの発生源はかなりの確率でハナ子さんの親父さん、この人
当時ありがちな家長としての威厳丸出しの威張り屋とは正反対、
温厚でどこか頼りなく事あるごとに爆笑or失笑パフォーマンスを見せてくれます。
まるで家族のマスコット的存在なのが何とも微笑ましい限りです。
ただ、ラストで夫の出征を知った後でもハナ子さんが底抜けに明るいのが
ちょっと引っかかります、ご時世なんでこの演出も仕方ないのかな。

ミュージカルシーンの見どころは、轟夕起子が自転車に乗りながら歌う
爽やかなナンバー、お使いは自転車に乗って♪
ご近所さんの日常風景を楽しげに紹介する、とんとんトンカラリンの隣組♪
野原で女性ダンサー達が唐突に意味無く新体操のような群舞を踊りだす
シュールなくだり(ここもバークレー調)等
また、脇役のデコちゃんこと高峰秀子も少しだけ歌ってくれます。
歌はともかくとして当時二十歳前のデコちゃん、なかなかカワユイ。
それと本編中、戦災にあう前の東京丸の内のビル街の映像が出てくるのですが
この巨大なビル群がとても壮観で印象的でした。

ともかく戦時下の国策映画でありながら、ここまで自由でのびのびとした
気風の映画が存在してたことに驚きました。