核融合エネルギー、実用化に前進 研究加速も日本には「軍事」のハードル
https://www.sankei.com/article/20230112-QLVHMGA7TVLZHAVUMOJENTFJHI/
 将来の新たなエネルギー源として期待される「核融合」が、実用化に向けて大きく前進した。米ローレンス・リバモア国立研究所
は昨年12月13日、核融合反応で投入した量を上回るエネルギーを得ることに成功したことを発表した。世界初の成果で、実験は
大型レーザーで燃料を熱して核融合反応を起こす「レーザー核融合」と呼ばれる方式で行われており、実用化には大型レーザー
の開発が鍵を握る。世界で研究開発が加速するとみられるが、日本では技術面以外に他国にはない高いハードルがある。

 ただ、日本国内では、ドーナツ型の炉の中で強力な磁場を発生させ、高温のプラズマを宙に浮かせた状態で保持する「磁場核
融合」が中心で、レーザー核融合は主流ではない。背景には日本特有の事情がある。
 NIFなど海外のレーザー核融合の実験施設は、軍事研究施設としての顔も持ち合わせているのが一般的だ。米国やフランス
などの核兵器保有国は、核実験の代わりに核融合用の高出力レーザーで核爆発の状態を再現し、核兵器の性能をテストして
いるといわれる。
 こうした背景から、国内でもレーザー核融合を軍事研究だと批判する向きがあり、レーザー研の別の研究者は「昨年度も国の
専門家会合の場で『軍事研究だ』と主張する専門家がいたようだ」と明かす。