桂調査委員会報告書より

STAP論文に関して、科学論文およびその基礎となった研究の問題点まで視野を広げると
ここで認定された研究不正は、まさに「氷山の一角」に過ぎない。
たとえば、以下の4つの点をとってみても、非常に問題が多い論文と言える。

第一は、本調査により、STAP細胞が多能性を持つというこの論文の主な結論が否定された
問題である。
その証拠となるべきSTAP幹細胞、FI幹細胞、キメラ、テラトーマは、すべてES細胞の混入
に由来する、あるいはそれで説明できることが科学的な証拠で明らかになった。
STAP論文は、ほぼすべて否定されたと考えて良い。これだけ多くのES細胞の混入があると、
過失というより誰かが故意に混入した疑いを拭えないが、残念ながら、本調査では十分な
証拠をもって不正行為があったという結論を出すまでには至らなかった。
これは、本調査委員会の能力と権限の限界でもあると考える。

第二は、論文の図表の元になるオリジナルデータ、特に小保方氏担当の分が、顕微鏡に
取り付けたハードディスク内の画像を除きほとんど存在せず、「責任ある研究」の基盤が
崩壊している問題である。

最終的に論文の図表を作成したのは小保方氏なので、この責任は大部分、小保方氏に
帰せられるものである。

また、STAP幹細胞、FI幹細胞、キメラマウス、テラトーマなどについて、作製後の解析を
行ったのも大部分が小保方氏だが、その実験記録もほとんど存在しない。
本当に行われたか証拠がない(行われなかったという証拠もない)実験も、いくつか存在
する(細胞増殖率測定、Oct4-GFPを持つFI幹細胞の作製など)。