日経新聞「東京っ子のノーベル賞受賞者はいない」

ノーベル賞受賞者、都内高卒は1人 開成、筑駒はゼロ

2021年のノーベル物理学賞に米プリンストン大学上席研究員の真鍋淑郎氏の受賞が決まった。日本人のノーベル賞受賞者は米国籍を含め28人目。出身大学別で東京大学9人(自然科学分野は6人)、京都大学8人と両大卒が圧倒的に多いが、高校別ではほとんどが地方の公立校OBだ。不思議なことに東京都内の高校出身者は1人しかいない。「東京っ子」はなぜいないのだろうか。

「かつての日比谷高校はおおらかで自由な校風。利根川さんは制服など着たことがないという個性的な生徒だったそうです」。都立日比谷高前校長の武内彰氏(白梅学園高校校長)はこう振り返る。都内の高校出身で唯一のノーベル賞受賞者は、日比谷高卒の利根川進氏だ。ただ、出身地は愛知県で、中学の頃に都内に引っ越してきた。東京で生まれ育ったわけではない。

これまでのノーベル賞受賞者に東京出身者がいるかどうかで言えば、実は都内で生まれた人は何人かいる。第1回受賞者の湯川秀樹氏は東京生まれ。しかし、1歳のころ京都に移り、京大までこの地で育ち、物理学を学んだとされる。東京で生まれ育ち、高校まで都内で過ごした受賞者は見当たらない。