梅の成分に抗インフル作用 感染と蔓延の両方に効果 “特効薬”の期待も
2011.2.20 20:30 (1/2ページ)

 梅果汁製造最大手の中野BC(和歌山県海南市)と中部大学生命健康科学部の鈴木康夫教授は、
梅エキスの有効成分「ムメフラール」に、インフルエンザウイルスの人体の細胞への感染と、細胞内
で増殖したウイルスの他人への感染の双方を阻害する優れた抗ウイルス作用があることを発見した。
感染予防と、パンデミック(世界的大流行)につながる蔓(まん)延(えん)予防の両方に作用する天然
成分の発見は世界でも初めて。インフルエンザの大流行を食い止める新薬開発に有効な成分として
注目されそうだ。(芳賀由明)

 鈴木教授は、梅エキスにA型インフルエンザの感染予防効果があることを平成20年に立証している。
今回は中野BCと共同で、梅エキスの5つの成分を分解して精製したうえでそれぞれの機能を分析。
インフルエンザウイルスの吸着(感染)と放出(蔓延)の機能を担うそれぞれのタンパク質「ヘマグルチ
ニン」と「ノイラミニダーゼ」に対してムメフラールが阻害効果を発揮することがわかった。

 鈴木教授らは研究過程のなかで、新型インフルエンザが世界的に流行した21年9〜11月にモニター
実験を実施した。梅エキスを凝縮した中野BCの粒状製品「梅真珠」を同社の社員や関係者に、食後3
回3粒ずつ摂取させた結果、有効サンプル166人のうち新型インフルエンザにかかった人は1人(軽
症)、家族に新型インフルエンザ患者がいた場合にかかった人はゼロだった。海南市では学校閉鎖が
相次ぎ、関連会社にも患者が増加していた時期だけに、研究の有効性を示すエピソードとなった。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110220/biz11022020340004-n1.htm