学長側、教授側とも争う構え…東北大論文訴訟
 論文に不正があったという告発文のホームページ(HP)掲載を巡り、
東北大の井上明久学長ら2人が名誉棄損で同大の大村泉教授らを訴え、
同教授ら4人が反訴した訴訟の第1回口頭弁論が9日、仙台地裁(関口
剛弘裁判長)であった。

学長側、教授側とも相手の請求の棄却を求め、全面的に争う構図となった。
学長側は教授側に1650万円の損害賠償を求め、教授側は学長側に
慰謝料など約2500万円を請求している。

井上学長は同大の横山嘉彦准教授と1996年と2007年に金属ガ
ラスに関する論文2本を共同で執筆した。裁判で学長側は、大村教授ら
が昨年10〜12月、この論文についてデータの改ざんや捏造(ねつぞう)
があったとする告発文をHPに掲載したことについて、学長らの社会的評価
を失墜させた、と主張した。

これに対し教授側は、学長側の提訴は研究不正の告発を妨害することが目的
で極めて違法で不当と主張。内容虚偽の告発をしたかのような指摘をされ、
研究者としての社会的評価を著しく低下させられた、としている。

この日、学長側の大室俊三弁護士は「学術的な論争は既に決着が
ついている。同じ大学の人間が法廷で争うことを学長も望んでい
なかったと思う」とコメントした。教授側の松井恵弁護士は「研
究者には説明義務があり、学長には学問研究の場で答えてもらい
たかった」と話した。


(2010年9月10日 読売新聞)
ttp://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20100910-OYT8T00692.htm