【アメリカ社会】
●「コロナ禍を契機に「薬物中毒の死者数」が急増 《20代から50代に集中》」(Business Journal:2021.08.11 05:20)
<出典> https://biz-journal.jp/2021/08/post_243734.html

「米国はパンデミックの危機から脱しつつあるが、新たな問題が浮上している。『薬物中毒死が急増しているのである』。」

「CDC(米疾病対策センター)は7月14日、「昨年の米国の薬物過剰摂取による死者数が『過去最多の9万3331人』だった」ことを明らかにした。新型コロナウイルスによる死者数は約37万5000人だったので、『薬物中毒死の数はその25%の規模に上る』。
 薬物中毒死の年間の伸び率も『29%の増加であり、こちらも過去最高だった』。
 最近では『1日当たりの薬物中毒による死者数は、新型コロナの死者数よりも多くなっている』。」
「『強力な薬物が出回っていること』も懸念材料である。
 CDCによれば、昨年の薬物中毒死のうち『オピオイド(医療用の麻薬性鎮痛薬)が原因となるケースが全体の約75%を占めた(6万9710人)』。
 2019年の「5万963人」から急増している。」

「薬物中毒死はパンデミックの数カ月前からすでに増加していたが、その流れが『コロナ禍によって加速した』ことが明らかになっている。
 パンデミックが招いた『精神的な苦痛、辛い体験、経済的な困窮、社会的孤立感など』が「うつ」的な感情を引き起こし、薬物使用を誘引した。これまで薬物に縁遠かった人も手を出した可能性が指摘されている。」
「注目すべきなのは、オピオイド乱用による死者が、『20代から50代の働き盛りの世代に集中している点』である。
 背景には、『熾烈な競争社会という構造的な問題』がある。
 現在の米国では、薬物は、身体的な痛み(肩こりや腰痛等)を癒すためではなく、「不安とストレス」に起因する精神的な痛みを癒やすために大量に使用されている。」