契約が取れたらすぐに局へ連絡する。呼応するように「のこり42万!」「のこり27万!」といったメールが各メンバーに届く。課長や課長代理には金融渉外部長から「今日の数字はどうするんだ!」と圧がかかり続ける。

 若手は契約が取れるまで局に戻りづらく、耐えられずに自分や家族を保険に入れる「自爆」に走る者も。
月末の有給消化は許されず、過剰労働が発覚しないよう、夜には社有端末の電源を切らされる職場もある。

 アポがない局員は、郵便局の端末で顧客情報を100人も200人もリストアップして印字し、1件ずつ電話してアポ取りをする。その光景を「オレオレ詐欺と変わらない」と自嘲する局員もいた。

 電話をかけまくり、口実を作ってアポが取れるまで、外回りには出られない。
アポが取れなければ上司からなじられ、アポが取れても契約が取れなければまた叱られる。
“ブラック” を絵に描いたような職場で、多くの渉外社員は正常な感覚を失っていく――。