アリさん引越社がついに謝罪へ… 男性は2年間シュレッダー係の仕事に耐え続けた

どんな事件だったのか?
Aさんは2011年1月、引越社関東に正社員として入社。セールスドライバーとして勤務したあと、営業職になった。成績は良好だったが、2015年1月に車両事故を起こしてしまった。
この損害賠償として会社から48万円を支払うよう求められたことをきっかけに、労働組合に加盟した。

すると、2015年3月、営業職から「アポイント部」へ配置転換され、給与が4割減となってしまった。
さらに2015年6月、2回の遅刻を理由に、朝から晩まで立ちっぱなしで書類をシュレッダーにかけ、ゴミを捨てるだけの「シュレッダー係」に配置転換された。遅刻のうち1回は、始発バスに乗っても間に合わなかったケースで、もう1回は体調不良だったという。

このシュレッダー係は、もともとバイトがしていた仕事だった。Aさんは目立つオレンジ色のベストを着せられ、その後約2年間、この仕事を続けてきた。

Aさんが2015年7月31日に東京地裁に裁判を起こすと、引越社関東は直後の8月11日、Aさんを懲戒解雇した。
さらに、懲戒解雇を告げるチラシを社内に掲示し、グループ会社の社内報にも掲載した。

このチラシには名前、顔写真、年齢とともに「罪状」として、「自己の権利を主張し、職責を果たしていない」などと書かれていた。

また、「世の中、まだまだ非常に厳しい状況です。
『懲戒解雇』になった場合、再就職先があると思いますか? 家族は誰が養うのですか? 
『一生を棒にふることになりますよ。』」といった、従業員を脅すような文言も書かれていた。

この解雇は、Aさんが地位確認の仮処分を申し立てると撤回された。

和解内容
1年半以上続いた裁判は、和解という形で決着した。
その結果、Aさんは今年6月1日から、営業専任職に復帰することになった。給与は営業職だったときの水準に戻された。

さらに引越社関東は、配置転換についての謝罪と、さらに懲戒解雇と「罪状ペーパー」についての謝罪もすることになった。